渡辺私塾文庫

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所蔵品目録


【27】神崎温順関係本
       昭和7年生まれ。昭和28年より田畑喜八氏に師事。昭和30年より土佐和紙の虜となり高知市に移る。平成2年「神崎温順展」を日本橋高島屋で開催。型絵本多数刊行。(吾八書房 これくしょん 平成3年10月 18号72ページより抜粋)           (最後に、神崎氏についての私の拙文有り)
  1. 波声 、吾八、総型染絵本、昭和56年、限定30部  (写真)(家蔵本である東、西、南、北、うしとら、巽、坤、乾の8冊があり、吾八書房店主宛献呈本「東」本、日本有数の稀覯本コレクター宛献呈本「南」本と、5番、12番、30番本の計5冊を当文庫で所蔵)
  2. 型染坂本書票集、吾八、昭和57年、限定50部
  3. ABC宛字書票3冊、古書通信社、昭和63年、限定200部
  4. 珈琲宛字燐票集3冊、古書通信社、昭和62年、限定200部
  5. 人名地名文物宛字絵本3冊、古書通信社、昭和62年、限定300部
  6. 風、吾八、昭和58年、限定50部
  7. 洋燈、吾八、総型染絵本、昭和59年、限定50部
  8. 時背負う、吾八、昭和62年、限定42部
  9. 酒、りーち、平成3年、総型染絵本、限定100部
  10. 和時計3冊組、吾八、総型染絵本、昭和58年、限定30部
  11. 諏訪之祈り、信濃愛書之会、昭和61年、限定60部
  12. 型染め版画、時計行商人、33x25,堀田時計店発行
  13. 型染め絵本「山頭火・旅」、平成3年、リーチ限定100部
  14. 型絵染「風之譜」、昭和56年、限定10部、(神崎氏には、「波濤之譜」、「火焔之譜」、「風之譜」の代表的3部作があり、生きてるうちに手にとって鑑賞できるとは思っていなかったが、2011年1月、廉価で入手できた。他の2作には、果たして、この地上で邂逅出来るだろうか。)
  15. 型染絵「波濤之譜」、昭和56年、限定10部、帖欠で、土佐17ヶ寺全17点(第30番は、安楽寺と善楽寺の2点)。2011年11月入手。それにしても芸術性の極めて高い秀作である。残りは「火焔之譜」のみ。地上にいる間に入手したいと言えば、強欲過ぎるのであろうか。)
  16. 型絵染 「立雛」、5/100
  17. 型絵染 「草の上にて」、3/50
  18. 型絵染 「南法華寺」、1/50
  19. 型絵染 「酔ってこおろぎと寝ていたよ 山頭火」、5/100 22の「山頭火名句二十選29ページ掲載
  20. 型絵染 「雲」、1/100
  21. 型絵染 「水音のたえずして御仏とあり 山頭火」 22の「二十選21ページ掲載
  22. 「山頭火名句二十選」、村上護、型絵染神崎、平成3年、春陽堂、
  23. 型絵染 「からまつ落ち葉 まどろめば ふるさとの夢」、2/50
  24. 型絵染 「南無阿弥陀仏」、「この道たどれば」、「道はるかなり」(この3点は15,波濤之譜」の一部かも知れない。現在調査中。)
  25. 型染絵、「千手観音持物手之内」、5/100
  26. 型絵染「時之譜」、昭和58年、限定10部のうち1番本、(3部作の後、神崎氏が宇宙物理学、哲学でも未だ未解決の「時」に果敢に挑んだ大作。作品を凝視すると、「時」は無限であると同時に一瞬であり、一瞬であると同時に無限であるといっているようである。)    付録として帖の中に作品集「付」が入っている
  27. 型染絵、「もりもりもりあがる雲の歩む 山頭火」 11/100、22の「二十選26ページ掲載
  28. 型染絵、「まことお彼岸入りのお彼岸花 山頭火」、10/100
  29. 型染絵、「春風の鉢の子一つ 山頭火」、9/100 22の「二十選9ページ掲載
  30. 型染絵 「月精摩手除熱毒病」、6/100
  31. 型染絵、「錫杖手得慈悲心」、1/100
  32. 型染絵、「跋祈羅手降伏天魔」、1/100
  33. 型染絵3部作、「雪月花」3点、3点とも1/100
  34. 型染絵3部作、「火岱の梅」3点、3点とも1/100
  35. 「四国八十八カ所霊跡之譜」全4冊、型染絵90図、限定7部、昭和58年、(限定10部の「時之譜」を完成させてた後、年後半にかけて、大作に着手したと言う噂は耳にしたことはあったが、その噂は、やはり事実であった。全4冊90図の大作で、当文庫で所蔵できたことを、天に感謝したい。)
  36. 「時と人形と」、昭和61年、堀田両平発行、限定50部
  37. 型染絵 「山頭火句作を刻む」ー碓氷山中にて路を失うー 23/50
  38. 型絵染作品集「付」 昭和58年6月 限定10部 見開き7図(26番の「時の譜」の「付」と同一作品。26番は10部のうち1番本、この「付」は5番本
  39. 「千手聖観音御手」、昭和57年、3/10
  40. 「佛手」、昭和57年3/10
  41. 「鉄鉢の中へも霰 山頭火」、22の「二十選45ページ掲載
  42. 「生死の中の雨ふりしきる 山頭火」 22の「二十選41ページ掲載
  
 神崎温順(かみさきすなお)氏は、私が最も敬愛する美術家の一人で、彼の型染め絵を見ると、ただただ精神が震え、崇高な感覚を獲得します。特に、自分の心が日常色に染まり過ぎると、型染め絵本波声(吾八 昭和56年)の最終頁 <みみうつは ただ波声 > を見つめ吾に帰ります。まるで、苦しいけれど他者の為にただ生きよ、と呟いているようです。
 神崎氏については、銀花49号(昭和57年)で、寿岳文章氏によって17頁にわたって紹介され、少数ではあっても全国に熱烈な愛好家が居て、彼の型染め作品を清らかな眼で鑑賞しているのでしょうが、その芸術性の高さからすれば、悲しいくらい評価の低い芸術家です。型染め絵を通して、表出した芸術性、精神性の深さは、日本美術史上希有であると、私は確信しています。
抽象画、抽象版画は、世界美術史上正当な評価を受けてきませんでしたが、その鬱積したエネルギーが、文様、装飾芸術、型染芸術のなかで、見事に開花しています。山下清の作品を観て、ゴッホの「ひまわり」や「糸杉」に匹敵する芸術性の高さであると言ったのは、梅原龍三郎ですが、もし彼が神崎の孤高の作品群を観たとしたら、果たして何と言ったことでしょうか。泡を吹いて倒れたのでは、と大げさに言いたいほどの芸術性の高さです。
 幼児の純真な絵の多くは抽象画であると言われています。物を写す具象作業も、人間の本能的活動でしょうが、内面のやむにやまれぬ思いを非具象の「形」と「色」で表現することも、やはり人間本来の本能的活動の一つでしょう。私達大人は、子供の絵を見て、「何を描いているの」と思わず尋ねてしまいますが、精神の強い思いを、ただ「形」と色」で表現したにすぎないのです。この延長上にある、強くて太い芸術表現の道が、「抽象芸術」であると確信します。神崎型染め芸術は、その道で宝石のように輝く結晶の一つでは無いでしょうか。そしてもう一つの結晶は、もちろん恩地孝四郎抽象木版芸術であるのは言うまでもありません。
 何れにしても彼を正当に評価する美術評論家の出現を切望してやみません。特に地元高知の美術関係者は、彼の作品と思想を研究する責務があると言うと、それは言い過ぎでしょうか。
 上の文章を書いたのは10数年前ですが、神崎氏については未だ闇のなかで、光が当てられる気配すら感じられません。故に、高知から遠く離れた北関東の地ではあっても、微力ながら微かな風を起こそうと思っています。昨年、栃木県真岡市の駅前に、粗末な極貧の美術館を開館致しました。恩地孝四郎が専門ですので、恩地だけで331点展示しているのですが、神崎型染め作品も9点展示しています。来年、第4回企画展として久保関連作家展を予定しているのですが、神崎温順企画展を先にしようかとも思っています。
 用の美の極致に近づいたのは芹沢型染め作品ですが、神崎芸術は、思想性、宇宙観、哲学性、生死観において芹沢芸術を凌駕するものであると、私見ですが確信しています。
 そうそう、まずは、私一人の神崎芸術研究会を創って、久保貞次郎が活躍した真岡市から、日本中に神崎芸術のそよ風をそっとおくらせて頂くと夢想しているのですが、如何でしょうか。(2016年5月19日早朝記)



所蔵品目録

【1】アルス日本児童文庫

【2】恩地孝四郎

【3】集古十種

【4】中村忠二

【5】美術書・稀覯本・草稿・画稿・画帖

【6】洋書

【7】雑誌


【8】日本画

【9】油彩画1

【10】油彩画2

【11】版画

【12】海外版画


【13】補遺1


【14】補遺2

【15】陶板、金工、ブロンズ、石膏、染織

【16】江戸本

【17】下絵

【18】妹尾正彦

【19】海外油彩画

【20】洋書2、生田耕作旧蔵本

【21】関野準一郎
 
【22】川上澄生

【23】横田稔

【24】佐々木桔梗、プレス・ビブリオマーヌ関係本

【25】稲垣史生原稿

【26】久保貞次郎

【27】神崎温順関係本

【28】古沢岩美関係本

【29】高梨一男関係本

【30】芹沢_介関係本

【31】西川満関係本

【32】竹久夢二関係本

【33】金守世士夫関係本

【34】奥の細道画冊

【35】田川憲関連作品


◆蒐集雑感


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