画集 潮に聞け−1   ページ2へ  ページ3へ  戻る  ホームへ


嗚呼、全ての生
 1.嗚呼、全ての生

褐色の大地に飢えで地に帰ってゆく多くの少年少女がいるとしても
地雷を踏みしめて、母を呼びながら爆死する兵士がいまだいるとしても
時には荒ぶる海があるとしても
時には青白く光る雷(いかづち)が轟くとしても

我等、全ての生あるもの、生物であれ、
鉱物であれ、全て見えるもの、見えないもの
宇宙の内と外の全てのもの。
今 言うぞ。
存在とは進化だぞ。
地上には楽園が、宇宙には宇宙の楽園が、必ず出現するぞ、楽天主義ではないぞ。
もう一度いうぞ。
存在とは進化だぞ。

だから 嗚呼、全ての生よ。


全ての死

 2.全ての死

全ての生には 全ての死が
影のように つきまとっているけれど

毛虫が蝶になるように
蛹(さなぎ)が蝉(せみ)になるように
人が神に近付くように

地上では、たとえ手首足首がないとしても
恥辱や汚辱にまみれても
濁った水を飲んだとしても

今、はばたくよ
死という新たな生へ。





私達は生きています
 3.私達は生きています

一人の人の中には 何人もの人が住んでいて
ときどき皆さん顔を出すのですが、

私たちは二人です。

私達にははるかな目標があって
鉄の律法と、赤銅色の肉体を所有しています。

一つの律法の中で生きることは
ある意味で快適ですが、
目標については話せません。

それでも どうしてもとおっしゃるのでしたら

おお、ウルトラマリーンの潮に聞け。


犬だってC.R.病院へ 
 

4.犬だってC.R.病院へ


人類 はじまって いまだ 数百万年
農耕革命 数千年
産業革命 数百年
宇宙の歴史からすれば ほんの一瞬ですし
人類史はまだまだ前夜ですから
我々犬族も確信しています
地球が恥丘から知丘に、いつの日か変貌すると。

それでもちょっと疲れたので
ちょっと行ってきますね、
C.R.病院へ。





少女

 5.少女

少女は触れる 木の枝に。
少女は知っている 大地の歴史を。
もうすぐ 地の歴史は 血ではなく、
地は知に、地は詩になることを。

少女は老木から過去を知り、
老木に未来を伝える。若さと伴に。

もちろん少女は知っている。 
植物にも意識があると。
更に今気付いている。
人の意識と植物の意識は異種であるが、重なり合い部分は愛であると。
愛とはやさしさだと。やさしさとは他者への思いやりだと。

少女は触れる 木の枝に。


N

 6.N

私はNに心ないことを言った。
Nは言った。
風花(かざはな)が散るとき私は死にますと。

私は祈った
決して風花が散らないようにと。

そのあとのことは ここでは言えない。

許されぬ恋についても
悲しみグリーンの潮にきけ。




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内容は随時更新していく予定です。

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