応援歌 〜血から知へ果てしなき旅〜
応援歌 NO.4 |
〜這ってでも生き延びよ〜 |
緑なす山野の息吹よ、教えてくれないか 私はこのまま笑みを絶やさず生きていれば人のためになるのか? 大地の涙、絶ゆなく流れる大河よ、教えてくれないか このまま汗して働けば、光あたらぬ所に、私は少しでも光をあてることができるか? 漆黒の虚空に轟く青白き雷(いかづち)よ 私は今の私でよいのか? 時には荒ぶる藍色の海よ 明日の私は今日の私でよいのか? 雨という名の大地の潤いよ 植物にも意識があるというのは本当か? 夜という名の地球の休息よ 人が泣くようには泣かないけれど、石一つにしても悲しみに濡れることがあるのか? 血という名の地よ、死という名の史よ やはり地の歴史は血か、愛は哀か、地球は恥丘か? 詩という名の志よ、血という名の知よ 木という名の気よ、類という名の涙よ……… 終わりなき峻烈(しゅんれつ)な問いかけのあと、時は流れ、いくつかの悲しみはあるにはあったが 私は 旅立つ友に昨夜告げた。 夜明けに風にふかれ、川辺を歩くと、川藻も川も、水面(みなも)も皆も、大気に漂う塵さえも、 全て一つの命で結ばれていると知ってしまったことを。 生きとし生ける物、ありとあらゆる存在は、宇宙の一つの大きな意思の表れだということを。 この地上の生は、植物でいえば地中にある種子だということを。 この地上の生は、蝉(せみ)でいえば地中にある蛹(さなぎ)だということを。 私は、死に急ぐ友に今日告げた。 今の苦しみや悲しみは植物でいえば地中の貴き養分だということを。 生は一回性の生ではなく、多回性の生だということを。 愛する者が死んでも悲しまなくてもよい。もっと身近な存在になるのだからと。 病んだ者が死んでも悲しまなくてもよい。朽ちた肉体から解放されるのだからと。 だから君たちも信じる者に伝えてほしい。 這ってでも、この地上で生き延びよと。 濁った水を飲んだとしても最後まで生きよと。 生き恥をさらしても、恥辱や汚辱にまみれてでも、生き延びよと。 そうした時こそ、 そうしたからこそ 死は目覚めであり、旅立ちであり、夜明けであり、進歩の証であると悟るのだと。 |
応援歌 NO.5 |
〜本当は生死などない〜 |
りんごの花が咲いたよ 薄紅色の花。 これは命の表れだよ 宇宙のね。 たんぽぽの花は黄色だね 黄色すぎる花。 これは私達の一部でもあるよ 宇宙のね。 そうそう、今日君に話したいことがある。 君に悲しみを教えるために愛する子犬か死んでいく時の 君の悲哀。 君に哀れみを教えるために異国の地で子等が飢えているのを見る 君の絶望。 他人のために生き他人のために死ぬことの意味を教えるために 戦場で散っていった名もなき兵士達を思う 君の落涙。 そのようなことが一つ一つ君達の心の輝きになってきたんだね。 だから声を一つにして、言ってくれないか? 一人で逝く子犬に。 飢えで散る子等に。 かあさんと言って果てる兵士達に。 決して犬死にではないと 決して無駄死にではないと 君達の旅立ちを、目に、胸に、皮膚にまで焼きつけたと。 だから生きとし生ける者に、恋人の耳元でささやくように言ってくれないか? 氷が水になるように、水が蒸気になるように 進化という死はあっても 消滅という死はないのだと。 だから全ての命ある者に、愛くるしい赤子に頬するように言ってくれないか? 私達は生きながら死に、死にながら生き 本当は存在するのものに生死などないのだと。 そうそう、今日君に言い残したことがある。 花々が華ひらくのに君がどうして成就しないと思う? いや、ごめん、ごめん 人は生まれた時 すでに華ひらいているんだったね。 |
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