久保貞次郎研究所

リーフ
「久保貞次郎研究所2010年8月 月報」
毎年10月開催の「芳賀教育美術展」は今年で24回を迎えますが、今年度から入選者計676名の賞品は、当研究所が贈呈することになり、8月14日、真岡青年会議所地域教育委員会委員長に直接お渡しすることが出来ました。賞品贈呈は、当研究所設立目的の一つでもあり、この様な「贈呈側」という恵まれた立場に立てたことを、全ての関係者に感謝致します。内訳は、「知事賞」用オリジナル大版画1点、「久保賞」用オリジナル中版画12点、「運営委員長賞」、「教育会長賞」、「芸術協会長賞」用ドレ鋼版画36点、「造形教育研究会長賞」用私の拙書24冊、他に入賞者全員にノート計1070冊です。
 「ドレ鋼版画」36点は、1883年にロンドンのカッセル社から出版されたギュスタブ・ドレ鋼版画挿絵本「Bible Stories and Scenes」に添付されていた全36枚で、愛書家としては、120年前の高価で稀少な稀覯本をばらしてしまうことは大変辛いことでしたが、素晴らしい芸術作品が36名の子ども達の手元に残ることを考えて、敢えて決行してしまいました。この稀覯本を作った方、後世に残してくれた方、ドレ氏、久保氏もきっと許して下さるでしょう。
 そう言えば、バブル期、この鋼版画を額に入れて、驚くほど高額で販売していた都会の画廊や百貨店のことを思い出しました。所謂「画帳くずし」作品と呼ばれていて、本物には間違いない作品ですので結構売れていたような記憶があります。そのような利潤第一主義の行為と比べれば、今回の私の「画帳くずし」は遥かに健全で、意義ある行為であると無理に納得しています。
 来年は、今年以上の賞品を贈呈できるよう、1年がかりで頑張ろうと思っています。