愛の三行詩
第二章
地球よ、あとどれほどの血が流れれば
恥丘は知丘に変わるのか
その1 革命とは |
彼は現役の革命家。 彼女はきく、「革命って何?」 彼は言う、「平等な社会の実現だよ。」 彼女はきく、「何のもとでも平等?」 彼は言う、「当面は指導的役割を担う前衛党のもとでの平等だ。」 彼女は言う、「それではキリストのもとでの平等、天皇のもとでの平等、資本の原理のもとでの平等とどう違うの?」 彼は言う、「我等の思想の優位性だよ。」 彼女は言う、「その優位性はだれが決めるの?」 彼は言う、「歴史そのものだ。」 彼女は言う、「その答は、歴史が証明するという答は、わからない、と同意よ。あなたに足りないのは、 一つの思想に対する、気が遠くなるほどの峻烈な批判精神だわ。あなたはたんに出会いと流れで政治革命を やっているだけじゃない。こちらに来なさい。あなたの精神を鍛え直してあげる、私の体で。」 |
その4 ダイエットは女性の悲しい自己規制 |
肥満を理由に彼に捨てられた彼女は、ダイエットをしてやせこけて きれいになったと思い違いをして、胸をふくらませて彼に会いに行く。 彼は言う。やせている女性は嫌いだと。 彼女は言う、あなたを思って 目がくぼむほどの飢えと戦ったのに。 あなたを思って ボクサーのように目がかすむほどの渇きと戦ったのに。 今わかりました。ダイエットは男性支配、女性差別の陰湿な罠であると。 ダイエットは女性の悲しい自己規制であると。 |
その6 おお、あのネコちゃんは生きていた |
濁流にのまれたネコちゃんは、命からがら
、夕焼けの岸辺に、流され た女性を助けあげる。 念願の口移しの人工呼吸をしながら、ネコちゃんは強がりを言う。 「年輩の女性もいいニャー、オエッ!!」 |
その8 ネコちゃんAと恋ネコEとの最後の別れ |
ネコちゃんA ───ネコ族の進化のため、人類の、地球の、宇宙の進化のために、 母性無血革命に参戦するニャー。ああ、風のささやきが聞こえる、大地の胎動を感じる、水の音が聞こえる。 今宵、この川辺で最後の別れをするニャー。いいことするニャー。 ネコちゃんE ───いいことって何ニャン? ネコちゃんAは、夜空に美しく輝く二人の星を捜すのだニャー といって、ネコちゃんEの上に風のようにそっと乗る。 ネコちゃんEはネコちゃんAに、心も体も応えながら言う。 ―――私はずっと前からその星を見つけてるニャン! ネコちゃんAは、愛という名の星だニャーと言おうと思ったけれど 思わずニャッと笑って言ってしまう。 ―――若いネコもいいニャー!! |
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