テスラコイルの製作

 

1.テスラコイル1号機 失敗作

 手探りで始めた。ネットで情報を収集した。参考にはなったが,肝心なところがぼけていて分からない。適当に判断して製作した。その結果、たくさんFETを飛ばした。 

 

(1)2次コイルの製作

 2次コイルをとりあえず巻いた。沢山巻けばよいだろうと単純に思ったが、手元にあった部品を利用して1号機は以下サイズで巻いた
 ・巻線 0.4mmポリウレタン線
 ・巻枠 外形60mm 長さ400mm 塩ビ管
 ・巻数 950回 ポリウレタン線の長さ 179m
 ・インダクタンス Ls=7.1mH Q=134(100kHz)
 2次コイルにダイソウで購入した20cmのボールを容量球として,共振周波数fを測定した結果f=444kHzだった。 この結果を無視して製作したことが混乱の原因であったと2号機が完成した後に気がついた。

 

(2)1次コイルは

 ・巻数 0.8mmポリウレタン線5本並列 4ターン    ・インダクタンス Ls=3.4μH Q=114(100kHz)

 

(3)1次共振回路のコンデンサーの値

 1次コイルに直列にコンデンサを接続し,2次コイルの共振周波数に一致する周波数で直列共振させる。そのコンデンサーの値はC=1/((2×π×f)^2×L) より計算する。従ってコイルのインダクタンスを測定するためにLCRメータは必要である。電源からスイッチング回路流れる電流値が最大になる発信周波数を探ると,516kHzであった。そこで,この周波数が共振点だと考え,コンデンサCの値を28nFとしたが,実験の結果19nF(4700pF ×4)が最も放電が強かった。放電の写真は,2次コイルのグランドプレーンより引き出した線の先端に釘を挟み近づけるとグロー放電する。

 

(4)失敗のまとめ

 出来上がったテスラコイルは理屈に合わないことが多すぎて大混乱した。もっと低い電源電圧で放電しないか試したが,FETを何個か飛ばした。原因が分からず、とりあえずドライバーもICに変え試したが動作が不安定であり何らかの問題点を含んでいると思った。

 オシロスコープの写真のようにまず約180kHzで発振させた(1μs/DIV)。しかしこの状態では放電しない。次にこの状態でインバータによる発振回路の入力端子にアンテナを付けると約600kHzで発振した。このときテスラコイルは放電した。
回路の発振周波数を周波数カウンターで測定しても安定しない。発振周波数が高すぎ、スイッチング回路の損失が多く、もっと低い周波数で発振する2次コイルを製作することにした。

 

 

2.テスラコイル2号機 成功

 2次コイルの共振周波数f は コイルの巻線長が1/4λになる周波数f になると考えて良いようだ。つまりテスラコイルは1/4λモノポールアンテナと考えることが出来る。スイッチング回路を製作する上で出来るだけ低い周波数にしたい。1号機の反省から200kHz程度になるように設計した。

(1)2次コイル

 ・巻線 0.26mmポリウレタン線
 ・巻枠 直径115mm 塩ビ管
 ・巻数 1057回  ポリウレタン線の長さ 382m
 ・インダクタンス Ls=38.85mH Q=74.8(100kHz)
 2次コイルの高さを30cm程度としたかったため、0.26mmのポリウレタン線を巻幅27.5cmと決めた。この結果巻数が1057回と逆算した。2次コイルにダイソウで購入した15cmのボールを容量球として,共振周波数fを測定した結果f=228kHzだった。 1/4λ=382mとすると、f=c/λ より f= 196kHzとなりほぼ予想通りの値となった。

      

(2)1次コイル

 ・巻数 1.6mmアース線 7ターン
 ・インダクタンス Ls=7.76μH Q=134(100kHz)

(3)1次共振回路のコンデンサーの値

 228kHzに共振するため c=62.8nFとした。(10nF×6+1000p×3とした) 1次コイルだけの場合、228kHzにおける7.76μHのコイルのインピーダンスは11Ωになる。電源電圧が12Vと仮定すると1A以上の電流は流れない。しかし直列にコンデンサをつなぎ直列共振回路で共振させると、コイルとコンデンサの両端の電圧が逆位相になり打ち消され、電源から見た場合コイルの直流抵抗のみ見えてくるので電流は最大になる。
 1次コイルの直流抵抗を仮に0.08Ω(Q値より11÷134)とすると、電流は12V÷0.08Ωより、150Aになる。コイルの両端の電圧のみを見ると、このときのコイルのインピーダンスは11Ωであるから、1650Vの電圧が発生することになる。従って1次コイルを2次コイルの共振周波数で直列共振させるようにコンデンサを選ばなければ放電は起きない。

 

(4)回路

 全体の回路はインバータによる発振回路、555タイマーによるインタラプター、フルブリッジ回路によるスイッチング回路からなる。電源はトランスによる全波整流回路で、タップを切り替えて電圧を可変した。インタラプターのパルス幅は0.66mS〜52μSの範囲で可変、インタラプターのパルスの繰り返し周波数は9.4Hz〜480Hz。パルス幅と繰り返し周波数でduty比が変化し、電源から流入する電流が変わる。電流計で確認している。