携帯型 線量計の製作

 シンチレーター+フォトダイオードで、γ線スペクトルを測定することが出来るようになった。資料をタッパーなどに詰めて持ち込めばγ線線量を測定できる。しかし、パソコンに接続しなくては何もわからない。ホットスポットになりやすいと言われている雨どいの部分の線量を調べたくても、コンクリートに付着している放射性物質を計測使用とすると、コンクリートを砕いて持ち込む必要がある。そんなことは出来ないので、その場にパソコン一式を運び込む必要が出てくる。そこで、携帯型のγ線線量計を製作した。
○回路構成

 チャージアンプから出力される信号は、アンプノイズを含んだパルスである。そこからγ線により生じたパルスを取り出し計数する方式とした。γ線とノイズの分離は、オペアンプによるコンパレータを利用し、設定した振幅を超える信号がきたときにOPアンプ出力が変化してLowになる。オペアンプの出力変化で、LMC555タイマーを使ったワンショットマルチバイブレータを動作させ、約1msのパルス信号を発生させる。このパルス信号をアナログ式のパルスレートメータで表示する。同時に約4kHzの信号を発生させピエゾスピーカーを鳴らす。

 

 

 注意することは、パルスレートメーターとチャージアンプは別電源(電池)とすること。電池を共通にすると、電源からノイズを拾ってしまい、うまく動作しない。また、測定中は振動を与えないように注意する。微少電荷を測定するので、フォトダイオードが振動するとコンデンサーマイクのように動作して大きな雑音(マイクロフォニックノイズ)が発生する。
○調整方法

  あくまでも簡易的な方法である。真岡市の空間線量は新聞発表値で0.07μSv/hである。従って自然放射線をカウントした時のメーターの指示がこの値になるように調整する。その方法は @PRAでバックグランドを計測する。Thresholdの値を調整して、アンプのノイズが計測に引っかからない時のカウント率を見極める。おおよそ1秒間に数回程度である。その程度のカウント率になるように1kΩを調整する。“ピー”の音のでるタイミングを調整すると考えるとやりやすい。 A次に、10kΩの抵抗を調整して、メーターの指示が0.07をさすように調整する。

○測定結果

 室内での指示値が0.07μSv/hとなるように調整し、屋外での何カ所かで測定した。
     @室内 0.07                                     (1.0倍)
     Aテニスコート横の地面(コンクリート) 0.15  (2.1倍)
      B部室の雨どいの所の砂利 0.32         (4.6倍)
      Cケヤキの木の根元 0.08                  (1.1倍)
 このように線量が高くなると言われている所はやはり若干高くなっていることがわかった。PICなどを使ってデジタルで表示させるのも良いが、アナログの針式は、放射線が入射するたびにピクピク針が動き、線量率の変化の様子がわかりやすい。常に変化していることがよくわかる。突然数値が変化するデジタル式より使いやすいように感じる。