温度計を作る(基礎知識)

温度とは
 温度とは暖かい・寒いを数値で表したものです。何を基準にして数値化したかによって色々な温度目盛りがあります。


温度目盛り


  1. セルシウス度(セ氏温度)
    定義
      水の凝固点を0℃、沸点を100℃として,この間を100等分しました。セルシウス度はスウェーデン人のアンデルス・セルシウスが1742年に考案したものに基づいています。

    単位   ℃

    読み方  25℃…摂(せつ)氏(し)25度,または25どしー

  2. A華氏度
    定義
      18世紀初めにドイツの物理学者(Fahrenheit)が定めた温度目盛りです。当時得られた最低の温度を0°Fとし,人間の体温を96°Fとしてこの間を等分。こうすると発熱した病人の体温は100 °Fとなります。日常生活に便利な温度目盛りで,現在も欧米では広く使われています。水の氷点を32度(32°F)、沸点を212度(212°F)とし,水の氷点と沸点の間を180等分に区切っています。

    単位   °F

    読み方  32°F…日本語読みでは…華(か)氏(し)32度

  3. 絶対温度
    定義
      -273.15℃を0K(ケルビン)とし,セ氏と同じきざみで目盛りをふった温度目盛り。0Kを絶対零度と呼び,これより低い温度はありません。古典的な物理学では0Kではすべての原子・分子の熱運動が止まることになります。

    単位   K

    読み方  273K…273ケルビン

温度の変換

@F°=(9/5)℃+32
AK =−273.15+℃

標準の温度計

 国際実用温度目盛りは    0℃   →  630.74℃の間は白金線の電気抵抗   630.74℃   → 1064.43℃(金の融点)までは標準熱電対,それより高い温度は黒体放射の輝度を利用するいわゆる光高温計によってきめる。

温度計

 温度計には @物質の膨張を利用するタイプ A物質の電気的性質を利用するタイプ B物質が放射する光を利用するタイプなどがあります。


1.アルコール温度計

 おなじみの温度計です。理科室に必ずある温度計です。この温度計に入っている赤い液体は,実はアルコールではありません。赤い色をつけた灯油が入っています。なぜアルコールが入っていないのにアルコール温度計と言うのかは謎のようです。
 1目盛りが1℃の温度計は±2℃の精度があります。



2.サーミスタ温度センサ(温度計)

  抵抗体の抵抗値が温度によって変化する半導体素子です。温度の上昇とともに抵抗値が減少します。(NTCサーミスタ)


3.IC温度センサー LM35D

  摂氏温度に比例した電圧を出力するように設計されたICです。0℃で0V,100℃で1Vの電圧が出力されます。(1℃で10mV)


4.熱電対

  2種類の金属線を接続して(熱電対)回路を作り,一方の接続点を暖め,他方を冷やすと,その温度差に応じた電圧が発生するという現象が1821年ドイツの物理学者トーマス・ゼーベックにより発見されました。これをゼーベック効果と言います。  一方の接続点を水の中に氷を入れて0℃とすると,電圧を測定することで他方の接続点の温度が測定できます。   

金属材料 測定温度範囲  

特徴 

クロメル − アルメル 

-200℃ 〜1000℃  直線性良い

鉄   − コンスタンタン

     0℃ 〜600℃     電圧が大きい

銅   − コンスタンタン

-200℃ 〜300℃     低温で高精度

注意 クロメル=ニッケルとクロムの合金 , アルメル=ニッケル合金 , コンスタンタン=銅・ニッケル合金,温度差100℃で電圧は4mV(0.004V)


5.白金測温抵抗体 (Pt100)

  白金測温抵抗体は,金属の電気抵抗が温度に対して変化する性質を利用した「測温抵抗体」の1種です。温度特性が良好で経時変化が少ない白金(Pt)を測温素子に用いたセンサです。白金測温抵抗体は、広く産業用温度センサとして使用されています。

低温では、自由電子は金属内をスムーズに流れる事が出来ますが、高温になるにつれ金属イオンが激しく運動をするようになるので,自由電子は金属イオンに衝突する機会が多くなり電気抵抗が上昇します。白金測温抵抗体は、この原理を利用して温度測定を可能にしています。  Rt=R0(1+At+Bt2) 0℃〜500℃  A=3.9083×10−3 ,B=-5.775×10−7   1mAの電流を流して抵抗を測定する。