新水波実験装置(2号機)

東レで受賞した水波実験装置と同じ機能で,改良した装置です。次の点を改良しました

@波源の取り付け方を改良 
A箱を折りたためるようにした 
BOHP用テーブルの取り付け方の改良 
C反射・回折に利用するアクリル板の改良
Dブラッグ反射用格子板の改良
E波源駆動装置も乾電池で動くようにした

T.水槽の組み立て

1.水槽の組み立て

35cm×70cm×15cm 程度の大きさにたためる         まず立てる

四角く組み立てる。底面に黒のフェルトをひく フックをかけて固定。木ねじの頭が出ているので,その出っ張りで高さを合わせる

側面にステージをはめ込み蝶ネジで固定 アクリル水槽をのせる。水槽には向きがある。

水量 約2gを入れる。(ペットボトル1本分)

     ↓

水深2cm程度にする

 

波源をステージにのせて蝶ネジで固定

2.波源

ア.平面波用

. 干渉用
. ドップラー効果用 ネジの所を中心に回転させるとドップラー効果が観察できる。

3.水深について

 点波源はまち針を利用している。先端の球が半分ほど水面の下に来るように水深を調整する。平面波は円柱の半分が水面の下に来るように調整する。点・平面波波源の高さはおおよそ同じに作ってあるが,若干変える必要がある場合は,模型工作用のヒノキ板を波源とステージの間に挟んで斜めにかたむけて調整する。

 

4.その他の装置

.OHP用テーブル

 足をアクリル水槽に差し込み,その上にアクリル板をのせる。アクリル板の上にOHPシートをのせると天井に文字を映し出せる。

 

.ドップラー効果用補助装置

 モータでクランクを動かし波源を左右に動かしてドップラー効果を自動化した。モータで動かすので両手があく。装置は穴に差し込むだけなのですぐに取り外せる。動かす速さを変えるときは手で動かすほうが手っ取り早い。

 

.ブラック反射

 ブラッグ反射用にネジをアクリル板に等間隔に差し込んだ。間隔は1cmとした。実験においては平面波の波面に平行に長手方向をそろえて,その位置を出発点として板を回転させると,ブラッグ条件に合致すると波面が浮かび上がってくることが確認できる。

 

.回折用アクリル板

 アクリル板をスライドさせて隙間を調整できる。またすきまにアクリル板を差し込むと複スリットになり干渉を観察することができる。

 

 

 

U.波源駆動装置の操作方法

1.各部の名称・機能

注意)電源は単3アルカリ乾電池×8本,またはACアダプター 13.8V1.3A程度
   乾電池より
ACアダプターの方がキレイな波が発生できる。レギュレータの作用でLEDの光量は同じ。

2.推奨周波数

水波実験

 水波実験では30Hz〜15Hz程度の周波数がきれいでコントラストの高い水波が投影できる。実験を始めるときのスタートの周波数は25Hzに設定することを推奨する。

うなりの実験

        うなりの実験では,400Hz〜150Hzの周波数が都合がよい。周波数は低い方がうなりの様子を確認しやすいが,150Hz以下の周波数を再生できるスピーカは大型になるので取り扱いが不便になる。

3.基本的な操作法

.具体的な操作例(水波実験)

初期設定

・波源,LEDを接続する。

POWER SWをON (パイロットLEDは発光,約10秒後リレーが”カチ”となり信号出力)

・うなり−水波切替SW水波

・LED・波源周波数設定SWを(波源)

・周波数レンジ切替SW×1

・周波数設定SWを25Hz

・リセットSWをON

 

操作

・点灯・点滅切替SWを点滅

・フォーカスを回してLEDが点滅するように調整

静止画

・静止・動画切替SWを静止画

・ボリューム,バランスを調整して,波面があまり乱れない範囲で振幅を大きくする

・フォーカスを回して波面のシャープさを調整する

・周波数UP・DOWNSW1Hz単位で増減,周波数設定SWで大幅に周波数の変更

動画

・静止・動画切替SWを動画

・波面が広がって行く

・周波数UP・DOWNSW1Hz単位で増減このとき

 自動的にLED点滅周波数は波源より0.5Hz低くなりので,広がる速さは変化なし

周波数設定SWで大幅に周波数の変更,このときリセットSWを押すとLEDは0.5Hz低くなる

・LED・波源周波数設定SWをA(LED)

 UP・DOWNSWでLED点滅周波数を0.5Hz単位で増減,広がる速さが変わる。

 

V 本装置で観察した波面

観察に利用した平面波
        周波数は全て25Hz,ただしブラッグ反射は20Hz(後から気がついた25Hzでも問題なし

水面に流れがあると平面波の波面がゆがむので水面が落ち着いてから観察すると良い

1.スリット間隔を狭めていった時の回折
一定の波長で間隔を狭めていった時の回折を写真撮影した。平面波の振幅も一定にしてあるので回折の様子の比較がしやすい。

 

2.二重スリットによる干渉

3.ドップラー効果

 

4.ブラッグ反射

 手順を取り違えると,ブラッグ反射と板による反射の区別がつかなくなる恐れがあるので注意が必要。格子状にビスを埋め込んだ板の回転方向は右の図のように行う。

 ブラッグの条件は 2dsinθ=nλ (n=1,2,……)である。θを90°方向から小さくなる向きに変化させるのがこつである。この逆の向きに回転させると,平行平面群が複数存在するので,θが小さいとき大変多くのブラッグの条件を満足する。従って単なる波の反射と誤解される可能性がある。

 次の写真は反射とブラッグの反射を比較した。長手方向が波面に平行に近い角度ではブラッグ反射は見えない。

 

反射 ブラッグ反射
本装置で観察した水波は 霜田光一,伊藤信隆,中込八郎:波動の実験,講談社(1983) にある水波の写真よりきれいな水波が観察できる。しかも写真ではなく肉眼で可能で見える。

W波源駆動装置の電源

1.乾電池

単Vアルカリ乾電池8本 12V
波源最大出力 約2W(8Ω負荷)/1CH
LED駆動電流 1A
全消費電力 約11W(LED常時点灯時,波源出力強,波源一個)
 
約5W (LED点滅,波源出力強,波源一個)

連続使用(LED点滅)で1時間弱の利用可能と思われる。電池が弱ってくるとLEDは点滅するが波源の駆動信号がカットされてしまう。この時電池の開放電圧は1.3V程度であった。

 

ACアダプター

 手持ちのACアダプター13.8V,1.3Aを使用。弱った電池の使用では波源を駆動する正弦波の歪みが大きくなり投影される波面が若干汚くなる。ACアダプターの使用でこの違いが分かる。

 LEDの駆動はスイッチングレギュレータで降圧している。効率が80%程度見込める。利用しているオーディオアンプは電源電圧の最大値が18Vである。従って利用できるACアダプターは電圧15V,20W程度の物がちょうど良い。

X LED

利用したPowerLEDEDEW-KLC8 White Vf3.7-4.0V If350-1000mA 140lm(700mA) 140°である。電流1Aで使用した。