BASICStamp,Pic Bsaic Pro の紹介
 
 
1.BASICStamp
 BASICStampはBASICでプログラミングできる切手程度の大きさのコンピュータです。内蔵しているCPUはPICで,フラッシュメモリー,発振子,レギュレータなどが組み込まれていて,電源をつなぐと動作します。フラッシュメモリーにはPBASICというBASICインタープリターが書き込まれていて,RS-232C経由でスタンプエディターからプログラミングできます。
 BASICの命令は,計測制御用の便利な命令を含んだ整数型BASICインタープリターです。インタープリターなので実行速度はあまり速くありませんが,個々の命令は機械語で実行されているので当然高速です。例えば,周波数を計測する命令 COUNT がありますが
COUNT Pin, Period, Variable  の書式で利用し
Pin  使用するI/Oピンを指定する変数/定数/式。 (0〜15)
Period カウントする期間を指定する変数/定数/式。(1 〜 65535 1mS 単位)
Variable カウント結果を保存する変数。通常はワード。
最大周波数(矩形波) 120kHzまで計測できます。
 正弦波を発生する命令 FREQOUT  は0〜32kHzの正弦波を発生できます。ただしPWM形式で正弦波を発生するので出力にはローパスフィルターは必要です。その他物理計測に役立つ命令があり,簡単に計測用のアプリケーションを作成することが可能です。
 プログラミングはRS-232C経由で行いますが,このポートを計測データの入出力にも利用できますので,エクセルでマクロを組んでエクセルにデータを読み込んだりも簡単にできます。RS-232Cの制御にフリーソフトEasyComm(VB,VBAからシリアルポート制御プログラムを作成するためモジュール)を利用すると便利です。EasyCommは次のサイトから入手できます。
○EasyComm
http://www.vector.co.jp/soft/win95/hardware/se314506.html
 BASICStamp関連の書籍にトランジスタ技術SPECIAL No.83 「電子職人のサバイバル・ツールBASICスタンプを使って」(特集 組み込みBASIC機器開発入門)トランジスタ技術SPECIAL編集部編,定価1,840円(税込)がありましたが,品切れ絶版になってしまいました。 ただし次のURLで「PBASICの命令の詳細な説明」Microsoft HTML Helpファイル (1,833KB) がダウンロードできます。参考になると思います。
○「PBASICの命令の詳細な説明」Microsoft HTML Helpファイル
http://www.cqpub.co.jp/hanbai/books/msp/MSP200307_SP83/PBASIC_command_Beta1.chm
 BASICStampICはいくつかのバージョンがありBS2-ICが秋月電子で購入できます。また発売元のパララックス社のサイトからBASIC Stamp Editor v2.3.9がダウンロードできます。マニュアルのPDFファイルも入手できます。400ページほどのボリュームがありますが詳しい解説があるので役に立ちます。
○パララックス社 サイト
http://www.parallax.com/
○BASICStampのマニュアルがダウンロードできます。
http://www.parallax.com/Portals/0/Downloads/docs/prod/stamps/web-BSM-v2.2.pdf
○BASICStampICの購入さき。秋月電子 BS2-ICが3900円
http://akizukidenshi.com/catalog/items2.php?c=basicstamp&s=popularity&p=1&r=1&page=0&cl=1#M-00017
 BASICStampICは手軽で,計測制御に限定すれば性能も十分です。しかし,割り込みが利用できません。そしてやはり3900円の値段は気軽に利用できる値段ではありません。PICは数100円で購入できるので比較するとなおさらです。勿論PICには書き込み器が必要ですので,その値段を考慮すると3900円は妥当な値段かもしれません。
 

 

2.PicBasicPro
 PICのプログラミングにはアセンブラがよく利用されています。命令の数は35で単純ですがやはり敷居は高いと言えます。Cコンパイラーも話題になります。しかし無料版のCコンパイラーは条件がきつく,また慣れた時点で正規版を購入しようと考えると大変高価です。そこでPIC用のBASICコンパイラーがないか探した結果PicBasicProというコンパイラーのデモ版がありました。
○無料お試し版 PicBasicPro デモ版。
http://www.melabs.com/pbpdemo.htm      
 PicBasicProデモ版がサポートするPICはPIC12F683, 16F627 (A), 16F628 (A), 16F84 (A), 16F688, 16F690, 16F870, 16F871, 16F872, 16F873 (A), 16F874 (A), 16F876 (A), 16F877 (A)です。また ソースコード(コメントと空白は数えられない)は31行に制限されます。但し使用期間の制限はありません。行数の制限は少しきつい感じはしますが,簡単なプログラムを作るには十分です。また対応するPICも日頃目にする型番が含まれているのでかなり使えるソフトです。
 PicBasicProのBASICの命令はPBASIC互換ではありません。しかし,かなりにています。従ってBASICStampの命令を書き換えるのは大変容易です。制御用整数型BASICとしての特徴はそのままです。COUNT,FREQOUT,PULSIN(パルスの周期を測定する命令)など計測に便利な命令があります。また,割り込み処理も簡単に記述できます。
 マイクロチップ社のサイトから無料でダウンロードできるMPLAB IDEという統合環境で利用できるアセンブラがありますが,この統合環境からPicBasicProを利用することも可能です。但しMPLAB IDEが日本語環境に対応していないために起こる不都合が報告されており注意が必要です(PicBasicProの問題ではありません)。次のサイトで確認してください。
○CQ トランジスタ技術 FAQ  にMPLAB IDE異常終了対策があります。  
http://www.cqpub.co.jp/toragi/contents/dsPICFAQ/FAQ3/faq3.htm
 PicBasicProの情報は次のサイトから入手できます。
○テック・ハンゾウガネ PICBASICPRO関連の業者サイト。説明書などがダウンロードできます。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~tekhanzo/#profiles  
 PicBasicProでコンパイルするとHEXファイルというファイルができあがりますので,このファイルをPICライターでPICに書き込む必要があります。PICライターは秋月電子のPICライターが値段が手頃で使いやすいと思います。業界の標準的な存在です。

 

3.PICを使った実験装置の開発
定常波の音圧をバーグラフ表示する回路
 PICとPicBasicProデモ版を使って音圧をバーグラフ表示する実験装置を試しに作ってみました。この装置を自作した時点では,A/Dコンバータを内蔵したPICを購入していませんでしたので,電子回路を付け加えてA/Dコンバータを作りました。オーディオレベルメータとして電圧をバーグラフ表示するICは存在しますので,特にPICを使う必要はないのですが挑戦してみました。

  

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PICを使った実験装置の開発の難しさは,電子回路とプログラムの2つのハードルを乗り越えなければならない点だと思います。この例ではA/Dコンバータ内蔵のPICを使えばかなりハードルを低くできます。従ってPICが内蔵するハードを熟知して上手に利用することがポイントだと思います。

 

4.どのようにして自作するか
 基盤は,パターンをパソコンで描き,インクジェットプリンター用透明フィルムに印刷して,フォトエッチング用のパターンとしました。しかし,1台しか作らない場合はユニバーサル基盤を使って,スズメッキで配線する方法が手軽です。なお,本文中にあるパターンはユニバーサル基盤で製作する場合も,部品をパターンにあわせて配置して,部品の足で配線すれば回路ができあがります。
 動作確認においてデジタル回路が必要な場合,BASICStampが大変便利です。パソコンからRS-232C経由でデータを送って動作の確認ができます。私は一台手元に置いて,汎用のデジタルI/O装置として利用しています。
 Windowsが普及する以前,プログラミングによる教材の開発が盛んでした。しかし,windowsNT系のOSに移行した現在,I/Oインターフェイス自作して外部との入出力をともなう計測制御のプログラミングは不可能になったとあきらめていました。しかし,最近PICなどのマイクロコントローラの普及で,パソコンとPICの役割分担を上手に行えば今まで以上に簡単に教材の開発が可能になったような感じがします。
 PICの解説本はかなり見かけます。しかし,計測制御を行うときはアナログ回路(電子回路)の知識も不可欠です。特にOPアンプの使い方をマスターすると色々なことが自由にできるようになります。
 
参考文献 岡村迪夫 定本 OPアンプ回路の設計 CQ出版
 
6.部品の購入方法
 インターネットで代引きで部品を注文することが日常的になりました。在庫があれば金曜の夜に注文すると日曜の午後に届きます。よく利用する秋月電子は,おそらく最も安値で購入できうるお店だと思います。秋葉原にあるお店は,何時行っても人であふれています。どこに何があるのか探すのが大変ですが,店員さんは大変親切です。
 県内ならば下記の会社に注文すると県費の様式で支払いが可能です。また,技術的な相談にも答えてくれます。                  有限会社 正栄デンシ販売 028-647-3927 
 
電子部品の購入先
 http//akizukidenshi.com/ 秋月電子通商
 http//eleshop.kyohritsu.com/ 共立電子
 http//www.marutsu.co.jp マルツパーツ館WebShop