●高電圧電源 

 5000V程度の電圧を発生できる電源を製作した。安定して動作する電源が完成したので理科の実験に利用する計画である。
 コッククロフト・ウォルトン回路を利用して18倍に電圧を昇圧する方式である。このタイプの高圧電源はフィルム付きカメラのストロボ回路を利用したものを見かけるが,今回は以前製作したDC-ACインバーターの発振回路,ドライバーを再利用した。かなりオーバースペックの部品を利用しているのはこのためである。
 DC-ACインバーターの発信周波数は55Hzであったが,定数を変更して約6kHzで発信させた。トランスの励磁電流は商用電源の周波数よりかなり高いので小さくなった。しかし,一般的な高圧電源の発振回路より低い発信周波数であるが,コッククロフト・ウォルトン回路で利用したダイオードは耐圧1000Vの通常のシリコンダイオードで,高速スイッチングタイプではないので,ちょうど良い周波数だと思う。
 利用した部品は全て入手しやすい汎用品で,殆ど秋月電子で購入した。耐圧が630Vのフィルムコンデンサーはマルツパーツで購入した。
 電源トランスの0Vに接続してあるコンデンサーの電圧が75Vの時,出力電圧が1.2kV(テスターで測定可能な最高電圧)であった。24VのACアダプターをつなぎLM317のボリュームを最大にすると,450Vを示したので,このとき7.2kVの電圧が出力されていると予想できる。このことを裏付けるように,火花放電が生じる間隔は5mm以上10mm未満という感じであった。
 右の図がコッククロフト・ウォルトン回路の部品配置図である。プリント基板で回路パターンを製作した。試作品はユニバーサル基板で製作してが,特に問題はなかった。ただし基板のサイズが小さいので段数を多くできないので基板を起こした。
 コロナ放電が生じないように部品の間隔には注意した。

 

 

 可変定電圧電源IC LM317の出力電圧をボリュームで可変して,高圧電源の出力電圧を可変している。
 5mm程度の間隔なら火花放電が連続的に生じる。大変安定して高電圧を発生する。