【水平投射の落下時間の測定】

                                     1988年

[目的]

 水平投射にいては初速度によらず落下時間が一定である事を確かめる。

 

[準備]

 PC−8801mkU(インターフェイスを必要とせず計測が出来る)、光電スイッチ(図3)、マイクロフォン(注1)、合板(30X90cm)、パチンコ玉。

                図1

[製作]

 水平投射運動の場合、初速度の鉛直成分が無いので言うまでもなく初速度の大きさによらず落下時間は変化しない。物体が床に到達したことを衝突音をマイクロフォンで拾う方式を採用すると落下位置によらず正しい時間を測定することが可能である。物体が床に衝突したことは合板の上に置いたコンデンサーマイクで衝突音を拾うことで行う。(図1)参考にマイクからの信号をTTLレベルまでに増幅する回路を図2に示す。図3は光電スイッチの外形とTTLレベルまで増幅する回路である。スポット球とフォトトランジスターの距離は出来るだけ近付けた方が時間測定でバラつきが生じづらい。

 時間測定のプログラムはPC-8801で機械語で作成した.CPUは水晶発信器の信号に同期して命令を実行するので,注意深く各々の命令の実行時間を計算しながらプログラムするとプログラムの実行回数から正確に時間を測定することが可能である.もちろんマイコンを使わなくともカウンターをICで製作すればさらに正確なものができるが,マイコンさえあれば,標準で装備されているデジタル入力2ビットのみで実現できるので極めて簡単であり,さらにいろいろなメリットがある.(紙面の都合でプログラムリストは省略した)

 

図2                       図3

 @ マイクアンプの製作

 図2の回路は、マイクからの信号をTTLレベルまで増幅する回路であるが増幅をすると言うよりOPアンプをコンパレータとして機能させている。3.3KΩの半固定抵抗をLEDが点灯状態から消える迄回転させスレシホールドレベルを設定する。電源電圧は±5V程度以上必要であるが単3電池4本でもなんとか作動する。使用するOPアンプはTL071で100円前後で比較的簡単に入手できる。ICのピンの配置は適当な規格表を参考にすること。なおICの出力に接続したLEDはリミッタの機能をかねている。約2V程度に出力は抑えられるのでTTLの入力レベルに殆ど合致するが、レベルが足りないときは電源電圧が±5V以下の場合は取り除き、それ以上の場合はツェナーダイオード(5V程度の)に交換する。

 

 A 光電スイッチの製作

 図3はフォトトランジスターの信号をTTLレベルまで増幅する回路である。感度の調整は、フォトトランジスターに入射する光の量を調整することで行う。なお使用したフォトトランジスターは手持ちの物を使ったので型番は不明であるが、どの様なものでも使用可能である。

 

[実験方法]

 @ 落下時間測定プログラムをロードする。

 A 光電スイッチを机の端にセットする。

 B マイクロフォンを合板に接触させる。

 C f・1キーを押して時間測定モードにする。

 D 色々な速度で物体を弾き、物体が光束をよぎると測定を開始し、落下して衝突すると測定  を終了し時間を1mSECの分解能で表示する。

 E f・1キーを押して落下距離を入力しておけば、f・2キーを押すことで距離と時間から  gを計算し表示することもできる。

 

[測定結果]

 高さ65.9cmの机から色々な水平方向の速度でパチンコ玉を投げ出したときの落下時間は次の表の様な結果になった。なおt=0.366sの時の落下時間より計算される重力加速度はB=981cm/s、t=0.367sではg=975cm/sである。

 

    








 


速度cm/s 


落下時間s


   31
   43
   86
   120
   190
   240
 


 0.363
 0.366
 0.366
 0.367
 0.367
 0.366
 

 

 なお初速度は斜面の高さから計算した。マイクロフォンは合板の上にただ置いただけである。また上の表で同一の速度の場合、落下時間のバラつきは殆ど無かった。

 

[実験上の注意]

 @ 光電スイッチをセットする場所は、机の端から物体の大きさだけはみ出してセットする。  測定結果で速度が小さい場合時間が短く測定されるのは、物体が若干落下した時点で光電ス  イッチをよぎるためである。

 

 A 光束は出来るだけ絞る方が測定結果が安定する。また物体が通過する位置は出来るだけ光  源の近くになるようにする。